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安倍総理のインドネシア・インド・マレーシア歴訪とテロ支援法延長について
西村眞悟衆議院議員 ※ 安倍新内閣が発足いたしました。この新内閣支持率・不支持率に関しての世論調査報道が早速流されましたが、新聞各社の数字の落差があまりに大きく、データとしてはどうなんでしょうか。それ以前に、先の参院選でメディアに好いように翻弄された世論を目の当たりにしており、この国に正常な世論調査は当分望めないのかもしれませんが。

 それはさておき今回は、安倍総理のインドネシア・インド・マレーシア歴訪やテロ支援法延長に関しての、西村眞悟衆議院議員の的確明快な評論文をご紹介したいと思います。

 この『眞悟の時事通信』は、政治や外交に多少知識不足な筆者でも読んでいて大変解りやすい。歴史にも精通し曖昧ではなくはっきりとした言葉で述べられており痛快でもあります。




□ 総理の歴訪ルートと防衛省の人事騒動に思う(眞悟の時事通信:平成19年8/25)
http://www.n-shingo.com/cgibin/msgboard/msgboard.cgi?page=307

 ニュースを精査した訳ではないが、二つのことについて記しておこうと思う。
 一つは、総理大臣のインドネシア・インド・マレーシア歴訪について。他の一つは、防衛省の人事について。但し、この人事については、登場人物が知っている人ばかりなので、プリンシプルだけを書いておきたい。

 先ず、総理のインドネシア・インド・マレーシア歴訪に関して。
 この歴訪ルートを知ったとき、直ちに思ったのは「戦略的ルート」だということである。そして、こういう歴訪ルートを選定した総理に、「なるほど」と頷いた。
 安倍総理は、昨年の就任直後に中国と韓国を訪れた。そして、ほぼ十か月後にインドネシアからインド、そしてマレーシアを訪れたのである。
 これで我が国のアジア外交にバランスが回復したのだ。
 従来、中国一辺倒外交がアジア外交だと思われてきた。
しかし、中国はアジアの特異な一つの地域に過ぎない。従って、我が国の外交は、この特異な中国を視野に入れつつ海洋でつながるアジアと通じることが肝要である。この肝要な地域が、この度の歴訪ルートである。

 安倍総理は、インドで、東条英機元首相等A級戦犯を裁いた東京裁判において、ただ一人無罪判決を書いたパール博士のご子息と会見した。これは非常に重要なことで評価すべきことである。
 そこで、インドでそれをするのなら、もう一つあったと、改めて惜しむことがある。
 それは、何故八月十七日からインドネシア訪問を始めなかったのかということである。総理は日程を二日繰り上げるだけで、
八月十七日のジャカルタにおける独立記念式典に立ち会うことができたのである。
 
 この八月十七日は、インドネシアの独立記念日である。
西暦一九四五年のこの日、ハッタとスカルノは、ジャカルタでオランダからのインドネシア独立を宣言した。その日付を、彼らは西暦で記さずに皇紀二六〇四年八月十七日と記したのである。手書きの独立宣言文の日付は「17・8・04」となっている。
 この独立記念日に、インドネシア人は、独立に日本が果たした役割を改めて顧みるとともに、この日から始まる激しいオランダ軍との独立戦争に多くの日本兵が参加してインドネシア独立のために戦い死んでいったことを思い起こすのである。

 インドネシアからインドへ抜けるこの回廊は、我が国のシーレーンであるとともに親日的な地域である。
 この回廊が不安定になれば、我が国にエネルギーが届かず、我が国経済は崩壊する。従って、この回廊を総理大臣が歴訪したことは極めて重要なことである。
 マスコミは、インドにおける二酸化酸素排出量の抑制問題に焦点を当てて報道しているが、私にとっては、これは名目で、我が国の総理大臣がインドネシアを抜けてインドへ入ったという事実を重く評価したい。総理外交に求められていた国家戦略が現れてきたと見たい。

 また、歴史を断絶させずに観れば、この歴訪ルートで直ちに思い起こすのは、大東亜戦争における初期の西方作戦である。ここが我が国の存立にとって重要な地域であるということは、この戦史を見るだけで分かる。
 大東亜戦争における連合艦隊は、後に遙か東方に出て壊滅するのであるが、初期には西方のマレー沖からインド洋に出て大きな戦果を挙げた。
 仮に、東方に行かずにこの戦果を確固たるものにしてインド洋を制圧しておけば、インドはこの昭和十七年の時点でイギリスから独立し、インドとイギリスの補給ルートとインドから中国への蒋介石支援ルートは断ち切られて、中国大陸における講和の機運が高まって戦禍は止み、英米は対日継戦の大義名分を失ったと思われる・・・。
 と、この地域を見るとき、何時も歴史のイフ(if)を色々思い巡らしてしまうのである。

 さて、十年ほど前に、ジャカルタでインドネシア海軍の参謀長に会った。通訳はアセアンセンターの中嶋慎三郎さんだった。
参謀長は私に言った。
「日本海軍が、このマラッカ海峡に来てくれないか。日本海軍が来てくれれば、○○などイチコロだ。」
「我々インドネシアは、貧しい予算の中でこの海峡の安全を守るために努力している。その恩恵を一番受けているのは日本ではないか。海賊の船は性能が良い。予算が足りない。日本海軍も参加すべきだ。」
 
 そして、今、この海峡を我が国の自衛艦が定期的に通過している。インド洋におけるアメリカやEU諸国のテロと戦う艦船に洋上補給するためである。
 これが、どういう重みをもっているか、考えて欲しい。
 我が国自衛隊の護衛艦は、帝国海軍以来の軍艦旗を掲揚している。日本人は歴史が断絶している人が多く意識しないが、インドネシアやインドからこの軍艦旗を見れば、日本海軍が再び、マラッカ海峡を通過するようになったのである。つまり、前に会ったインドネシア海軍参謀長の要望通りになっているのだ。
 
 今我が国政界の論調では、テロ支援法延長に関して、
「インド洋における給油活動の成果を厳密に検証するべきだ」というような議論が表面化しているが、インドネシアからインドに至る護衛艦の遊弋の成果は、たかが「給油の成果」だけで計れるものではない。我々は、インド洋で無料ガソリンスタンドを開設しているのではない。
 自衛隊の活動は、シーレーンである海洋・海峡の安全という我が国の存立にかかわるほどの重みをもっているのである。
 
 以前、大阪のある地域で、婦女をターゲットにした暴行事件が多発した。その時、警察がパトカーをその地域に重点的に走らせた。すると、暴行事件はピタリと止んだ。
 パトカーでもこれだけの効果がある。
 では、自国の独立という重大な事件に、決定的なインパクトを与えた国の軍艦旗を掲揚した海軍艦艇の遊弋が、どれほどの効果を持っているか。どれほど、地域の安全に貢献しているか。
 ここに思いを馳せなければ、とうてい国政における政治家の議論にはならない。ガソリンスタンド経営上の損得の議論にはなるが。

 次に、防衛省の事務次官人事について簡潔に述べておきたい。 この問題に関して、官邸と防衛省内局が、手続論でごちゃごちゃ言っているのが報道された。
 しかし、問題は手続論ではない。
 大臣が決めたのなら、内局はそれに従わねばならない。そして、そのように手続を進める。これが、事務方の仕事である。
 それを、事務次官が官邸に直行して不平不満を申すとは、一種の下剋上である。
 
 特に、自衛隊には指揮命令系統のラインがある。このラインを維持することによってシビリアンコントロールが機能するのである。従って、防衛省においては他の省庁よりも特にラインを重視すべきなのだ。
 しかるに、ここの事務のトップが官邸に乗り込んでラインを無視した。そして、事務次官の意向と、大臣の意向とが折半されたような結果となっている。このような悪弊を見過ごしてはならなかったのだ。

 また、事務次官は防衛庁生え抜きの後任に固執していて、警察庁出身者を排除したい意向と報道された。この報道が正しいのなら、これは防衛省の私物化である。
 始めに入ったところが、防衛庁であろうが警察庁であろうが大蔵省であろうが、共に同じ「国家の官僚」ではないか。
 その地位にふさわしい者がその地位につく、これが人事の鉄則である。特に国家を守る為の組織である防衛省においては、この原則は重視すべきである。
 仮に、無能なやつが生え抜きであるという理由だけで事務次官になれば、いざという時の惨害は国民に及ぶではないか。特に防衛省の事務次官人事には、生え抜きか生え抜きでないかというような了見の狭い基準は有害である。
 省庁は官僚の私的縄張りではない。
 広く、各省庁にいる「国家の官僚」を見渡して、有能な人材なら引っこ抜いてでも防衛省に迎えるという考え方でないと官僚機構の活力が出ないと思う。有能な人材を求めた省庁を縦断した人材引っこ抜き競争こそ、奨励すべきことである。



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【2007/08/29 16:57】 | 【筆者雑記】 | トラックバック(0) | コメント(2)
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コメント
 私も西村先生のメールマガジンを読んで頓悟したものの一人です。
 巷の評価はあまり芳しくありませんが、安倍首相の外交は最近の日本外交では記憶にない「戦略的な一貫性」があって、安心してみていられます。
 政治は結果責任ですので、小姑が途中経過を云々するのではなく、今しばらくのフリーハンドを渡しておきたいと思っています。

 過去記事のTBを送らさせていただきます。
【2007/08/30 08:59】 URL | 山本大成 #-[ 編集]
山本大成様

TBをありがとうございます。
西村先生の論文はどれも説得力があって、しかも解りやすいですね。多くの方に読んで戴きたいと思います。一本でも読めば、多くの「気付き」のきっかけとなる、そんな迫力を感じます。
安倍総理への評価は、いつかきっと歴史が証明する日が来ると思っています。


【2007/08/30 18:27】 URL | 娑婆妥場(管理人) #3.a9MHK6[ 編集]
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日本の近現代史の中から、主に感動エピソードを拾い集めてみたい。ゆっくりゆっくりですが。個人的には備忘録(メモ)のつもりです。

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